
【社長のメッセージ】2026/06/05
先月は、「専門家+AIは最強」という話をしました。AIは人間の能力を大きく増幅する道具です。特に専門知識を持つ人ほど、AIの出力を正しく評価できるため、大きな成果を生み出せます。
しかし、「専門家+AI」が最強であるためには、もう一つ欠かせない条件があります。それが、「最終判断は人間の責任」ということです。
文章作成、情報収集、翻訳、設計補助など、日々の仕事の中でAIを活用し、その便利さを実感しています。これからの時代、AIを使わないという選択肢は現実的ではなく、私たちの会社においてもAI活用は重要なテーマの一つです。
しかし、AIが普及する今だからこそ、私たちが忘れてはいけないことがあります。それは、AIは答えを出せても、その結果に責任を負うことはできないということです。
2026 年2 月28 日、午前10 時。イラン南部の小学校に、3 回連続でミサイルが落ち、児童120人を含む156 人が亡くなりました。同日の朝、米軍はイランへの軍事作戦を開始し、12 時間で約900 の標的を攻撃しました。報道によると、この作戦を実行たオペレーターは20 人で、ミサイルの目標を決めていたのは、ほぼAI です。AIは衛星画像、ドローン映像、レーダー映像などを1 枚の画面に重ね合わせた映像を作り、1分に1 標的以上の速度で、AI がさまざまな情報から分析して「ここを攻撃する」「ここは攻撃しない」と判断し、オペレーターはクリックしていくだけです。
冒頭のイランの小学校は、かつて軍事施設の壁の中にあった建物で、10年以上前に小学校に切り替わっていました。しかし、アメリカの国防総省情報局のデータベースは13 年前のままでした。AI は古い情報を忠実に処理し、人間のオペレーターは、4 秒に1 つのペースで承認が求められる中でクリックしました。非常に残念なのは、Google マップにも「学校」と表示されていたこと、また衛星画像では、運動場の壁に子供の絵が2018 年から写っていました。きちんと判断されていれば尊い命が失われずに済んだ事故だったのです。
AIの回答は人間の判断に大きな影響を与えます。私たちも日常業務の中で、AIが提示した答えを見た瞬間に、それが正しいように感じてしまうことがあります。しかし、本来のAI活用の目的は、AIの答えを採用することではなく、自分自身の思考を広げることです。AIの意見を一つの仮説として扱い、「他に考えられる可能性はないか」「反対の見方はないか」と考える姿勢がますます重要になります。
AIによって仕事のスピードが上がるほど、確認作業の重要性は増します。以前は時間をかけて作成していた資料も、AIを使えば短時間で作れるようになります。しかし、作成時間が短くなったからといって確認まで省略してしまえば、かえって大きなミスにつながります。AIが作成した文書や分析結果は、必ず人間が根拠を確認し、責任を持って判断することが必要です。
また、私はAIを「優秀な新入社員」のような存在だと考えています。勉強熱心で多くの本を読んでいて知識は豊富。質問すればすぐに調査して答えてくれる。しかし、自らの経験はありません。現場を知りません。お客様の表情も見ていません。そして、その答えに責任を負うこともできません。だからこそ、最終的な判断は人間が行わなければなりません。
これからの時代、AIを使える人と、使えない人の差は広がっていくと思います。しかし、さらに大きな差になるのは、AIを使いながらも、自分の頭で考え続けられる人と、AIに考えることを任せてしまう人の差だと思います。
AIは強力な道具です。しかし、道具が職場を成長させるのではありません。道具を使いこなし、責任を持って判断する人が職場を成長させます。AI時代だからこそ、人間にしかできない価値があります。それは、「考えることをやめないこと」、「事実を確認すること」、「情報を更新し続けること」、そして、「お客様にとって本当に良いことは何かを追求し続けること」です。
これらを大切にしながら、AIを強力な仲間として活用していきましょう。