
【社長のメッセージ】2026/04/03
「静かなる退職」という言葉をご存じでしょうか。私は最近まで知りませんでした。
これは、実際に会社を辞めるのではなく、“期待以上に尽くすこと”を静かにやめる働き方を指す言葉です。一見すると消極的に見えるかもしれませんが、依頼された業務はきちんとこなすという特徴があります。
この考え方は、米国で2022年夏ごろ、投稿アプリTikTokで公開された動画をきっかけにこの言葉が広がり、日本でも広く知られるようになりました。2025年の調査では、20代の約半数がこのような働き方を意識しているという結果も出ています。また、彼らは「仕事よりもプライベートを優先したい」「職務範囲を明確にしたい」「大きな責任は負いたくない」といった価値観が多数を占めています。
しかし、別の調査では、「残業がなく、ストレスが少なく、上司が優しい、という理想的な職場」であっても、若手社員の4割が「このままでは成長できない」と不安を感じ、1年以内に転職を考えているという皮肉な結果も出ています。
これらを見て私が感じたのは、若手は決して「ラクをしたい」わけではないということです。「自分を壊したくはない。けれど、本当は夢中になれる仕事を通して成長したい」 そんな切実な願いが、この言葉の裏側に隠れているのではないでしょうか。
「静かなる退職」という言葉を広めた本人は、結局、半年後に本当に退職してしまったそうです。仕事を最低限に抑えることは、一時的な防衛策にはなっても、人生を豊かにする解決策にはならなかったのかもしれません。
当社はみなさんと、従来の「仕事とプライベートの比重や境界を重視するワーク・ライフ・バランス」の、その先を目指したいと考えています。
それは、「ワーク・ライフ・インテグレーション(統合)」という考え方です。これは仕事とプライベートを切り分けるのではなく、どちらも大切な「人生の一部」として互いに良い影響を与え合う姿です。
しかし、それは単に、在宅勤務が可能な職場環境で、「日中に子供の行事に参加し、その分 夜に集中して仕事をする」など、時間や場所に縛られず効率を最大化する生活スタイルの提案ではありません。本質は、日常生活で感じていることを仕事に活かし、仕事の経験がまた生活を豊かにする、という循環をつくることです。
例えば、日々の生活の中で感じる「使いにくさ」「分かりにくさ」「こうだったら良いのに」という感覚は、そのまま自社の製品やサービスの改善のヒントになります。例えば、料理をしている時に感じる「計量器の使いにくさ」、家事や育児の中で感じる「情報の見えにくさ」、介護の現場で感じる「機器への不安感」などです。
当社の計測機器は、「正確であること」が前提です。しかし差別化の要は、正確性に加えて使いやすさ、直感的な理解、安心して使い続けられるサポートといった価値にあります。
社員にとって、「ラクな会社」であることだけが幸せとは限りません。自分の気づきや工夫が製品やサービスに反映され、それが誰かの役に立つ。その実感こそが、仕事へのやりがいや成長につながります。
当社は、日々の気づきを持ち寄り、それを提案し合う勇気を称え合う文化をつくりたいと考えています。その積み重ねが、社員の自己効力感を高め、人生が豊かなものになると思います。ひいては、みなさんが所属する会社の価値も高めていくことになると信じています。