最高の価値を提供するメーカー

【社長のメッセージ】2025/12/05

 先日、部品仕入れに関する一つの出来事がありました。従来の購買先から値上げの連絡を受け、他の購買先に見積もりを取ったところ、わずかですが10円安く調達できることが判明したため、仕入れ先を切り替えました。
 同じ品質のものを安く仕入れるのは、ビジネスとして当然の判断です。しかし、この小さな価格競争の現実に直面し、改めて、私たちが進むべき道を再認識しました。
 「同じ物なら安いところから買う」という小売業の厳しい現実、そして価格競争の泥沼から脱出し、「価格が高くても選ばれる」製品を生み出すための私たちの挑戦について、お話ししたいと思います。

ユニクロ「ヒートテック」の進化と競争優位性

 アパレル業界において、ユニクロは「一人勝ち」と評されるほどの記録的な好調を維持しています。彼らが他のアパレル会社と一線を画している最大の理由は、製品を企画・デザインするだけでなく、研究開発と量産化技術の確立を目的とした自社の工場を持ち、ここで確立した生産ノウハウや効率的なプロセスを、海外の委託先工場へ横展開していることにあります。

たゆまぬ改善

 ヒートテックは、2003年の誕生以来、その機能を劇的に進化させてきました。20年前のヒートテックは、暖かく、革新的なインナーでした。
 最新のヒートテックは、暖かさはさらに増し、薄さ、軽さ、肌触り、ストレッチ性、そして静電気防止といった機能全般が毎年向上しています。

 この進化は、お客様の小さな声を拾い上げ、「これで十分」と決して満足せず、毎年、素材、編み方、デザインに至るまで、地道な試行錯誤と改良を繰り返した結果です。この「たゆまぬ改善」がライフウェアという単なる衣服ではなく、「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服」という、ユニクロの服づくりの哲学とコンセプトを体現しています。

価格決定権の獲得

 この進化の結果、ユニクロは価格競争から一歩抜け出すことに成功しました。ライバルたちが、似たような製品を「安さ」で競い合う中で、ユニクロは「この品質と機能なら、この価格でも納得できる」というお客様の信頼を勝ち取りました。これこそが、全業界の全てのメーカーが喉から手が出る「価格決定権」であり、競合よりも高くても売れる製品を生み出す源泉です。

製造装置から自作する道

 このユニクロの物語は、私たち計測機器メーカーが目指すべき未来の参考になると考えます。私たちも、計測機器の製造・検査装置を自作し、改良を重ねることで、他社には真似できない製品を作り出してきました。
 製造・検査装置から自作するのは、大変な労力と専門知識を要し、一歩踏み出すことに尻込みしそうになります。しかし、その大きな壁は、ライバル企業も同じように感じているはずです。

追いつけない差の創造

 この地道な積み重ねこそが、私たちのライバルとの間に、簡単に埋められない大きく、追いつけない差を生み出します。独自技術によって、私たちの製品は比類のない精度、耐久性、利便性を獲得してきました。
 お客様は、圧倒的な「価値」を認めていただければ、「多少高くても、この製品でなければならない」と選んでくれるようになります。これこそが、私たちの価格決定権となり、ライバルが参入を諦める参入障壁になります。

 私たちは、安さで勝負するのではなく、最高の製品を自ら作り、改良し続けることで、最高の価値を提供するメーカーです。「これで完成」と安心せず、 ユニクロが毎年ヒートテックを進化させ続けるように、私たちも、お客様と社会のために、製品とサービスを日々、進化させていきます。進化の方向性は、安心して長く使い続けていただくための『耐久性』、ストレスなく使える『操作性』、測定データの共有化による『省人化』、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)の要求事項を満たす『安全性』の改善です。