ストレスのパラドックス

2022/06/03【社長のメッセージ】

6月2日の成果報告会に向けて発表者たちが、最後の追い込みをかけています。他部署の仲間が理解できるようにスライドを作成したり、発表内容を暗記したり、身振りを交えてわかりやすく説明するなど、普段の仕事では使わないスキルと努力が必要です。かなりのストレスではないかと思います。
しかし、発表者たちには悲壮感はありません。むしろ、いつもより活き活きしているように見えます。

職場におけるネガティブな感情のものになっている最たるものはストレスだと思います。仕事上、ストレスは付きものです。仕事の責任、納期、品質、人間関係、さらにはトラブル。
それらから受ける日々のストレスは健康を害し、精神状態を圧迫し、寿命を縮めていると大半の人は考えています。また、仕事上、生産性を低下させ、創造性の発揮を妨げているとも考えています。それゆえ、なんとかストレスを減らしたいと皆思っています。
しかし、みなさんはストレスが悪いことばかりではないことを、ご自身の経験から知っています。厳しい納期がある方が、集中力が増し、問題に的確に対処したり、生産性を高めたりといった優れた効果があることを知っています。さらには修羅場体験が、多少の困難に直面しても「あの時と比べれば大した事はない。」と思えることは有益です。修羅場経験が自信となり、楽観性にもつながり、レジリエンス(回復力)を強化することになります。
当社でも、ストレスのメリットを自ら積極的に取り入れている社員は、より健康的で、幸せで、仕事でもいい結果を収めています。
ストレスには良い面と悪い面の両面があり、幸福感と悩みとの双方を発生させる元になっています。ストレスそのものが問題ではなく、ストレスの捉え方こそが問題なのです。
米エール大学の研究によると、「ストレスを害だと思っている人」は、気分が落ち込む傾向があることが明らかになりました。同時に、頭痛や腰痛のようなストレスからくる健康問題を多く抱えているそうです。
ストレスは100%悪いものであって、減らすべきものという思い込みこそが、ストレスの悪影響を引き出してしまっています。

困難に直面した際は、「困った状況だ。何とか逃れたい。」と思うのではなく、「学習と成長のチャンスだ。」と捉えることで、ストレスからくる弊害を抑えられるだけでなく、幸福感が増し、より健康に、そして仲間に貢献できる力も強化されます。
今、発表者たちは、強いストレスを感じていると思います。しかし、後になってみれば必ず、自分を成長させた経験になっていたり、誇りに思える挑戦だったり、意義のあるものになっているはずです。