リスクマネジメントは企業文化がつくる

【社長のメッセージ】2025/07/11

 今日は、皆さんの日々の仕事で使ってもらいたいリスクマネジメントについてお話しします。
 リスクマネジメントとは、「将来起こりうる悪いこと(リスク)を予測し、それが起きるのを防いだり、もし起きてしまっても被害を最小限に抑えたりするための準備や行動」のことです。これは、組織だけでなく個人の生活を維持・向上させていく上で大切な考え方です。

会社におけるリスクマネジメント:現状維持は後退

 リスクマネジメントの考え方は、皆さんの日々の業務に深く関わっています。私たちは、多少不便を感じても、新しい問題が起きることを恐れて同じ方法で作業を続けてしまうことがあります。
 しかし、社内で仕事をしていると実感しにくいかもしれませんが、お客様のニーズは高度化し、ライバルメーカーも魅力的な製品やサービスをリリースする準備をしているはずです。このような状況で現状維持を選ぶことは、実質的に後退していると言わざるを得ません。
 当社では、多くの社員が製品やサービスの改良、作業工程の問題打ち上げなど、素晴らしい提案をしてくれています。皆さんの貢献意欲と成長意欲の高さには、いつも感謝の気持ちと頼もしさを感じています。
 もちろん、新しいことに挑戦すれば、新たなリスクが生じることもあります。そのため、すぐに全ての提案を採用されるわけではありません。しかし、この「新たなリスクにどう向き合い、どう対処していくか」こそが、将来の成長の全てと言っても過言では無いと考えています。しかし私たちは、年齢を重ねるごとに経験を積み、失敗から学び、思慮深くなっていき、その結果、新しいことへの挑戦に臆病になっていくこともあります。
 私が理想とする組織は、あふれる成長意欲と貢献意欲に基づく若者たちの改良提案に、ベテラン社員の思慮深さや問題解決力を掛け合わせ、革新的な製品やサービスを生み出し、社会に必要とされ続ける組織です。

 反対に、私が強く危惧しているのは、若者の提案を頭ごなしに否定してしまう組織です。このようなことが繰り返されると提案することに消極的になり、組織は衰退していきます。
 リスクマネジメントとは、「リスクがあるからやらないでおこう」ではありません。「リスクがあるからこそ、そのリスクを明確にし、許容できるまで減らすための対策を考え、果敢に挑戦しよう」という姿勢です。

稲盛和夫氏の言葉に学ぶ

 京セラやKDDIを創業し、JALの再生にも貢献された稲盛和夫氏は、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉を残されています。

 楽観的に構想する:現状の制約にとらわれず、「こうありたい」「こうしたい」という理想を、ポジティブな気持ちで自由に考え、無限の可能性を信じて未来を描く。

 悲観的に計画する:計画を立てる段階では、あらゆるリスクや障害を徹底的に洗い出し、最悪の事態も想定して準備する。

 楽観的に実行する:そして、計画を実行する段階では、再び楽観的な姿勢で、どんな困難に直面しても「必ずできる」という強い信念を持ってやり抜く。

 この言葉は、まさにリスクマネジメントの本質を表しています。

挑戦を後押しする企業文化

 どんなに素晴らしい製品やサービスも当初に感じた感動は薄れていきます。また高度化するお客様のニーズに応えたり、新しい市場に合った製品やサービスを生み出すためには、リスクを積極的に取ることが不可欠です。その不安を打ち消すためにも日頃から強みを磨き上げる不断の努力が重要です。
 会社におけるリスクとは、経営目標、特に当社の場合は品質目標の達成を妨げるもの全てを指します。このリスクの大きな要素となるのが、社内の風土です。

 「まずやってみよう」「失敗してもチャレンジし続ける」「仲間の話を肯定的に聞く」「行動の変革を導く若いリーダーの育成と登用」――これらこそが、私たちが目指すべき企業文化です。  積極的にリスクを取って失敗した仲間に対して、「ナイス チャレンジ!」と心から言える風土を、一緒に作っていきましょう。