至高を目指す

2025/08/01【センサー開発部の仕事】

 3週間前に映画「国宝」を観ました。そこで描かれていた職人たちの姿に、深く心を揺さぶられました。「たどり着けないかもしれない高み」に向かい続ける執念と気迫、そして技を磨くための途方もない試行錯誤。その光景を見て、これは自分が歩んできたセンサ開発の道と重なるものがあると強く感じました。

 私の原動力は、常に「なぜだろう」「もっと良くなるはずだ」という疑問や探究心でした。国宝の職人たちもまた、「これで完成」とは思わず、納得するまで試し、挑み続けています。彼らの姿を見ながら、WA-SGF2やWA-VRLCなどの開発に取り組んできた日々を思い出しました。CO2ガスの影響対策、酸性電解液低濃度上昇問題、加速試験による応答性劣化、析出の影響、高濃度特性劣化…等々。一度は行き止まりに見えた課題も、試作や実験を重ねることで、少しずつ突破口を見出すことができました。その積み重ねが、現在の酸素センサーの技術力を育ててくれたのだと思います。

 国宝の世界では、「至高」は結果ではなく「過程」にこそ宿ると表現していました。道具を手入れし、手順を工夫し、わずかな違いを何度も確かめる。それは、まさに私たちの製品開発業務と同じです。センサーを1つ試作するにも、細部に宿る小さな違いへの気づきや、目に見えない努力の積み重ねが必要不可欠です。妥協せず、一歩先の精度、一歩先の応答速度、一歩先の耐久性を追いかけることでしか、他社を超える製品は生まれないと考えます。

 また、国宝の職人たちは「心」を込めることも決して忘れないと表現されてました。相手の使い方を想像し、見えない手間を惜しまない。それが“心を込める”ということだと思います。その気持ちは、私たちが作るセンサー、製品、サービスにも必要です。その手に渡る瞬間まで責任を持って仕上げること。これが、真の価値を生むんだと思います。

 私はこれからも「究極の酸素センサー」を作るという夢を諦めません。これは開発者としての夢であると同時に、飯島電子として世界に示せる意義でもあります。国宝の職人が人生を懸けて至高を追うように、私もまた、自分の探究心と好奇心を原動力に、少しでもその理想に近づけるよう努力していきます。時には壁にぶつかることもありますが、そうした瞬間こそ、自分が成長できるきっかけになると信じています。

 そして、「至高」は一人で作れるものではありません。どんなに優れた職人でも、部品や材料、そしてその道具を作る誰かの手があってこそ作品は完成します。センサ開発も同じで、設計、製造、営業、品管、購買、すべての部門が一体となって初めて、お客様に胸を張って届けられる製品が生まれます。部門の垣根を越え、互いの強みを活かすことが、未来の競争力につながると思います。

 「国宝のように、世界に誇れる製品を作る。」 その志を胸に、これからも一緒に挑戦していきましょう。日々の仕事の中で小さな改善を積み重ねることこそが、未来の飯島電子を支える「宝」になると信じています。「国宝」に認定される究極の酸素センサを作っていくためにも、皆さんと共に、次の高みを目指して進んでいきたいと思います。これからもよろしくお願いします。

「生涯修行、臨終定年」老害にはならないように気を付けます。(笑)
センサ開発部 kinoshita(秀坊:しゅうぼう)より