
【社長のメッセージ】2025/04/04
2年前に生成AI(ChatGPT)が公開されました。初めて触れたときは衝撃的でした。世間では近い将来、単純作業はAIに取って代わられるのではないかという不安が広がる一方、高度な知的労働を担うビジネスパーソンの多くは、自分の仕事には影響がないと考えていました。
しかし、最近のAIの進化には目を見張るものがあります。600名を超える弁護士が所属する長島・大野・常松法律事務所では、すでにAIを導入しており、従来人間の弁護士が2週間かけていたM&Aの契約書チェックを、わずか15分で完了できるようになったそうです。しかも、品質のばらつきが大幅に減少し、より高精度な作業が可能になりました。
また、AIによる採用面接も実用段階に入っています。求職者がWEB上でAIの面接官と対話することで適性を評価するシステムが実際に運用されています。デモンストレーションを見たところ、AI面接官は女性のアニメキャラで登場し、自然な会話の流れで求職者の回答を要約し、頑張っているところを具体的に褒めていました。その結果、求職者は時折笑顔を見せながらリラックスした状態で面接を受けていました。
AI面接官は一歩踏み込んだ質問を繰り返し、表面的な回答か、事実に基づいた回答かを見極める能力を持っています。人間の面接官とは異なり、私情を挟まず、公平で数値化された評価結果を提供する点も特徴的です。 これにより、企業側の人材不足を補うだけでなく、求職者にとっても時間や場所に縛られないメリットがあります。
このように、弁護士や採用面接官といった、これまで高度な知的水準を要求される職種でもAIの活用が進んでいます。現在は特に高度な技術を要する職種から導入が進んでいますが、AIのコストが下がれば、私たちが担ってきた知的労働の多くがAIに代替されることは避けられません。
近い将来、AIがAIをさらに進化させ、性能が爆発的に向上すると予測されています。そして、それに伴い私たちの生活も劇的に変化していくでしょう。AIを開発する企業は莫大な利益を手にする一方で、AIに仕事を奪われた人々の暮らしは厳しくなるかもしれません。
従来は会社の上司が部下の適性を考慮してキャリアプランと共に学びの機会を提示してくれていました。しかし、上司も経験したことがないAIによる大きな変化においては、私たちは現実から目を背けるのではなく、死活問題として向き合う必要があります。
私たちが取るべきアクションは、次の2つです。
・AIが得意な作業は積極的にAIに任せ、より価値の高い仕事に時間を集中させること。
・「解決すべき問題を提起」する能力を磨くこと。
AIは膨大な量の「正解」を高速に生み出すことができます。したがって、人間は単に「正解を出す」仕事から距離を置く必要があります。勝ち目がないので、作業を抱え込んだり、奪い合ったりしていてはいけないのです。
私たちは子供のころから、正解のある問題を正確に解く努力を求められてきました。そして、筆記試験の偏差値が人の優劣や価値を測る基準かのように見られる風潮がありました。しかし、AIが急速に進化する時代において、人間に求められる価値は、正解を出すことから、「見過ごされている解決すべき問題を提起する」ことにシフトしています。
誰もが「仕方がない」と思い込んでいる問題について、「これは本当に正しい状態なのか?」「これは本当に美しい状態なのか?」と問い直す力を鍛えることが求められます。そのためには、幅広い教養を身につけることが必要です。専門知識を持つだけでなく、歴史、文学、哲学といった分野の知識を学ぶことで、思考の柔軟性が増し、視野が広がります。それにより、目の前の仕事をより批判的かつ多角的に捉えることができるようになります。(批判的に考えることは物事の本質を見極めるための重要な思考プロセスです)
現在、全社員に『問題打ち上げ』をしてもらっています。これは、今後のビジネスパーソンにとって最も重要な仕事となるでしょう。幅広い教養を身に付けるのは時間がかかります。普段読まないジャンルの本を読んだり、異なる価値観を持つ人と話をしたりすることで身に付いていきます。いずれも楽しみながら続けることが大切です。超長寿命時代だからこそ、長期視点で学びに取り組んでいきましょう。