『切り結ぶ 太刀の下こそ地獄なれ 一足進め そこは極楽』

【営業部のお仕事】2024/2/6

 販売1課のNaitoです。タイトルにある言葉は宮本武蔵の教えなのですが、私が仕事をするなかで、これぞ営業の極意とも感じ、この言葉の深さを実感したことがありました。

 私は、販路先である企業様を訪問することがあるのですが、面談していただく相手には、100名以上の企業の役員職、部長職といった職位の方々がいます。当社の酸素計を販売していただくためには「組織を動かせる人」と信頼関係を作ることも重要であるため、職位の高い方への接近を(はか)り、関係構築することを積極的に取り組んでいます。

 しかし職位が高ければ高いほど、酸素計の販売にすぐに興味を示してもらうことが難しいのが現状です。1年間に何十億円も売上がある機械メーカー様にとって、1台30~50万円の酸素計を、時間を使って販売するよりも、自社の課題解決を優先されていると思います。私が酸素計を販売してほしいことを熱心に伝えても、肩透(かたす)かしを食らう感覚があります。どうすれば、そうした方々との関係構築ができるのだろうか…と、手探り状態でした。

 しかしながら先週、手ごたえをつかんだ出来事がありました。職位相応の関心事や志向を聞き出すための質問をすることで、相手への興味を示し、価値観を理解することです。これは、訪問前に実施したロールプレイング勉強会で導き出した営業技術です。ロールプレイング実施後、ある機械メーカー様を訪問し、面談させていただきました。

 面談中に、恐れ多くも、こんな質問を投げかけてみました。
「素朴な質問ですが、貴社にとってのCSRとは何でしょうか?」
 CSR(社会的責任)とは企業が自社利益を追求するだけでなく、組織活動が社会や利害関係者に与える影響と責任のことを指します。私からの質問に対して、どのような反応をされるかドキドキしました。「何を若造が」という反応をされたらすぐに帰らねばと思いましたが、返答は次の通りでした。

「難しいことを聞くねぇ…。私が考えていることは、お客様の事業を成長させるために…」
と、事業を通じてお客様の成長を支えるために何をすべきか、社長や部長が熱心に語ってくれたのです。私からの唐突な質問に対して、真剣に語るその表情を初めて見ました。CSRに関する本質的な質問が私を認めてくれる第一の扉でした。それをきっかけに会話が弾み関係を深めることができ、結果、当社の酸素計に対して更なる興味を持っていただくことができました。職位の高い方との関係構築を会得したと実感できた、自分自身の成長の瞬間です。

 私たち営業の仕事は、幅広い業種そして職位が高くとても多忙な方々と関係構築ができる、貴重な機会をいただける仕事です。相手の立場に関わらず、いつも自分の心の中の根底にあるのは、まずは「他者貢献」です。相手の頭の中の関心ごとやお困りごとを想像し、会話から引き出していくことで心を開示していただき、さらに相手への理解を深めていきます。「私たちにできることで、お手伝いをさせていただく」そんな姿勢で相手企業様の課題に理解し、共感することが、ビジネスパートナーとしての第一歩になると思っています。その一歩一歩の先に、当社の経営ビジョンの達成があるのだと思っています。

 これからも、根っこにある「他者貢献」を忘れず、お客様と販売店様、そして皆さんのお役に立つことを通じて、毎日一歩一歩を踏み出して、成果を出し続けていきたいと考えています。