製造部の差別化

2018/02/02【社長のメッセージ】

 先日、税務署の立ち入り調査がありました。通常、調査は3~4年ごとにあるらしいのですが、当社は17年ぶりの調査となりました。売上と利益が安定していて、接待交際費もほとんど無いに等しいまじめな会社であると判断されていたかもしれません。
 調査の結果、些細な指摘はありましたが、公正な会計をしていると判断されました。

 税務署歴30年のベテラン調査官と雑談をしていて、世間の会社と当社の違いを聞くことができました。
 調査官曰く、蒲郡市内の会社で全国にユーザーを持つ会社があるとは驚きだと言うのです。竹本油脂やニデックは別格として、他社のユーザーは三河、せいぜい東海地方です。他社は国内にライバルが数百もあります。各県に数十ものライバル会社がいる状態では、県外に営業をかけても既存のサプライヤーがありますから、頭を下げても価格を少し下げただけでは受注できない状況です。
 一方、当社が提供しているガルバニ式酸素計メーカーは、国内で4社しかありません。しかも市場に特化した特徴的な製品とサービスによって、お客様も全国になっています。

 最近はスマホのような携帯端末が普及しています。情報を低コストで発信、手軽に収集しやすくなりました。何処にでもあるような特徴の無い製品は、カカクコムのような情報発信サイトによって価格競争が加速し、売値と利益が下がっていく一方です。一方、特徴のある製品は情報発信によって遠方からも引き合いが増え、売上も利益も上げることが可能になります。
 つまり、他社に真似できない製品やサービスを提供すること、そして情報をわかり易く発信するという商売の基本をこれからも追求することが必要です。

 製品とサービスの差別化というと、設計部と営業部が話題の中心になりがちですが、縁の下の力持ちの製造部門についての差別化をお話します。
 今は3ヶ月分以上の在庫を持って、作業の平準化を行っています。当社の場合、一番売上の高い時期は3月です。一番売上が低いのは8月です。その差は2倍を超えます。しかし、それは全製品の総売上げの比較であって、個別の製品においては、主力製品であっても売れる月と売れない月の差は5倍近くなるものもあります。また、最も売れる時期が3月以外のものが約半分、同様に売れない時期が8月でない製品が半分もあります。
 将来、作業者の不足や財務状況が悪化して製品在庫を持てなくなった時、売る商品が無くて業績悪化する危険性があります。意外だと思うかもしれませんが、2ヶ月先の製品毎の需要予想は難しいのです。

製造部が将来のために改善すべき課題
 在庫が少なくなったときでも、お客様が必要としているときに製品を納められるようにするために、
・計器課とセンサ課同士で応援し合える体制を築く
・生産計画の修正を今よりスピーディーで柔軟に対応できる体制を築く

 具体的には
・作業者の熟練度による品質や作業スピードのバラツキを低減させる工程改善
・初心者でも即戦力化のために専用ライン化
・経験レベルに応じた作業標準書の整備
・多能工化教育
・魅力あるリーダー社員の育成

 当社は、これからもお客様が満足を越えて、感動を感じられる製品とサービスを提供していきましょう。そのためには、縁の下の力持ちとなる部署の土台を一層強化していきましょう。そして、当社の市場に目を付け、参入しようとしているライバルメーカーが、「飯島電子がいるから無理だな」と思われるように、コツコツと参入の障壁を上げていきましょう。