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2017/10/12【社長のメッセージ】

 社員の福利厚生の一環として、ラグーナの湯の南側に建設中のラグーナ・ベイコート倶楽部の会員契約をしました。2019年3月にオープンします。期末パーティーや新入社員歓迎会、報告会の会場として使っていきたいと思います。
 ラグーナ・ベイコート倶楽部は、会員制の高級リゾートホテルです。当社の社員は、保養所としてリゾートトラスト社の全国25カ所の会員制ホテルを利用することができます。

 今月の初めに、商工会議所主催の会社見学会に参加してきました。多くの学びがありましたので、一部をお話したいと思います。
 見学先は、竹本油脂さんです。
 竹本油脂さんといえば、ごま油をイメージすると思います。ミシュランガイドに載っている天ぷら屋14店舗中、13店舗は竹本油脂のごま油を使っているそうです。残りの1店舗はごま油を使っていないそうですから、ごま油の品質は最高ランクと言えるでしょう。
 ごま油の売上は、竹本油脂さんの売上の20%程度であり、残り80%は工業製品だそうです。
 竹本油脂さんの歴史は創業290年です。最初は、明かりをとるための油の製造から始まりました。しかし、明かりがガスに替わり、電気に替わる明かり用の油の需要がなくなりました。企業の生き残りの商品が、「ごま油」だったそうです。
 ごま油は健康に良く、貴重品ということで付加価値の高い油です。中小企業が参入する上では良い商品だったそうです。しかし、ごまの取引金額は、収穫量に大きく左右され、安い時に買って、高いときに売ることで利益を得ることができる。ごま油を作る以上の利益が、ごまの相場で変動する不安定な経営を、何とか改善しなければ、という思いで工業製品に力を入れることになったようです。

 企業を継続する上で重要なことについて、お話を聞くことができました。

①ニッチトップ
 資本の大きな企業が参入する大きな市場でなく、小さな市場でトップシェアをとる

②徹底した顧客志向
・最初の顧客との打ち合わせから製品の納品まで、一人の研究者による担当性
 研究員のモチベーションアップにもなっている。
・試作品は必ず社内の試験データを付けて納める。
 試作品を作って、「では、使ってみてください。」ではない。必ず自社で、お客様とほぼ同じ条件で評価し、そのデータを付けて納めている。そのために竹本油脂さんの研究棟は、お客様と同じ大型の織物機や評価装置が設置されている。
・大部屋主義
 壁のないフロアーに研究部と営業部が同居している。
 お客様の声がダイレクトに商品開発につながっていく環境をつくる。

③中核技術の水平展開にこだわる
 得意な「油」の技術以外に気やすく手を出さない。
中核技術を応用することで、短期間に膨大な投資をせず、ニッチトップになれる可能性がある。
 また、応用製品を研究する過程で中核技術に一層の磨きがかかり、既存製品の品質向上に繋がる。

 竹本油脂さんは、油で幅広い市場で商品展開をしています。よほど目利きの経営者か、営業部隊が存在するのであろうと思っていました。しかし、予想に反して商品化のきっかけは全て、お客様と商社からの問い合わせと要望から始まっているそうです。
 コンクリートに混ぜる油は、付き合いのあった商社から海外製の油と同等品を作ることができないか?との問い合わせから始まったそうです。
 コンデンサーの絶縁油のきっかけは、別件で大手電機メーカーの○○○の部品を共同開発していた。共同開発の案件は途中で無くなったが、レスポンスが良かったことを覚えていた技術スタッフが、別の事業部の知り合いに紹介したことがきっかけで繋がったそうです。

 当社には国内で4社しか作ることができないガルバニ式酸素センサーの技術があります。
それを応用できる市場を探す積極性は大切です。しかしそれ以上に、目の前のお客様の声にならない要望にも敏感に察知して改善を提案したり、不具合に対しても製品を販売する時以上に誠実におこなったりすることで、結果的に次に繋がっていくのではないかと思います。
 売上拡大のために、将来の新製品や新サービスを開発することを常に考えることは大切ですが、目の前の仕事を誠実に一生懸命に実行していきましょう。