リモートワークから考える仕事の本質

2022/09/02【社長のメッセージ】

2020年から始まったコロナ禍の対策として、オンライン商談を推進してもらっています。
他社では、リモートワークが定着して、「今まで満員電車で通勤していたのが、馬鹿らしい事だったと気づいた。」というような声を数多く聞いてきました。
ところが、最近そのような声は、すっかり聞かなくなったように感じます。むしろ、「オフラインへの回帰」がささやかれています。

私たちは顔を合わすと、雑談することがあります。雑談を通して、無意識に職場の問題の共有をしています。その場では、右から左へ聞き流していた情報も、点と点が繋がって、解決すべき職場の課題の発見になったり、お互いに助け合うきっかけになったりしています。
しかし、リモートワークの会話は、一方的に要件を処理するだけになりがちです。小さな問題の共有がされにくく、孤立を感じやすい職場になりがちです。

先日、オンラインの外部講習を受講したのですが、自分の頭がフル回転していないことに気づきました。リアルの外部講習では、講師が唸る質問をすることにしています。少し自分で考えれば回答できる事を講師に質問するのは愚かです。多くの受講生の前で、講師が唸る質問をするためには、頭の中で自問自答を繰り返します。講義を聞くのが50%、質問を考えるのが50%の割合で、頭をフル回転させて参加しています。講義が終わる頃には、ひどく疲れますが心地よい爽快感があります。
ところが、オンラインの外部講習では、質問はメールでします。緊張感が少ないので、頭の回転が鈍くなって、講義の理解度も下がっていると自覚しています。
これは、当社の営業部のオンライン商談でも似た事が起こっているのでは、と想像します。オンライン商談は、移動時間が大幅に削減できるので、数をこなすことが出来ます。とても「効率」が良いです。製品の取扱方法の説明など一方的に情報を発信するような仕事は、オンラインの「効率」が有効です。
しかし、オンラインの欠点は、相手からの反応がつかみにくいことです。久しぶりに対面で営業をしたら、とても盛り上がったと聞きました。また、販売店との新規ユーザーへの同行営業も大成功したそうです。五感でキャッチボールをすることで、お客様の潜在ニーズが浮き彫りになり、心に響く提案ができたのではないかと思います。
対面営業は、「効率」は悪いかもしれませんが、「効果」は高いようです。

これまで、「リモートワークをうまくやるためには」という方法論についての話が盛んでした。しかし、リモートワークを議論する最大の意味は、自分の仕事を再考することにあります。
実際、私たちの仕事はリモートワークが難しいですが、リモートワークになって何が変わり、何が変わらないのか。一度立ち止まって考えてみることは、自分の仕事の本質を知ることになると思います。そして、もっと効果的に、またはもっと効率的に成果を出すことができそうです。

私は仲間から、「あなたはリモートワークでもいいですよ。」と言われたら、複雑な気持ちになります。笑