「成長」と「慣れ」は違う

2023/05/12【社長のメッセージ】

 人間は成長に対して、何よりも価値を感じていると思います。皆さんは、成長を感じていますか?残念ながら、「最近、成長を感じていない」と思っている社員さんにメッセージを送ります。

 そもそも、「成長」と「慣れ」は違います。今までやったことがない作業が出来るようになった。これは「慣れ」です。「慣れ」には限界があります。十分に作業に慣れた状態では、時間短縮はわずかです。熟練者が成長を感じられないのは、そのためです。

 「成長」と「慣れ」の大きな違いは、獲得した能力に汎用性があるのか?で判別できます。具体的には、その能力が、将来転職する会社で活かせるか? です。「成長」とは、人間力の向上と言えます。人間力は複数の能力が組み合わさった総合的な力です。ここでは大きく3つに分類しておきます。

 1つ目は、「困難に立ち向かう力」です。

 困難な環境でも揺らぐことなく突き進める力のことです。感覚的には、「あの人に任せておけば安心」と思われる人です。スキルとしては、意味づけ力、ポジティブシンキングのほか、困難時にストレスをやり過ごすせる鈍感力、目的を遂行する力が当てはまります。

 2つ目は、「対人影響力」です。

 目標を達成するために周りに働きかけ、巻き込みながら仕事を先に進める力のことです。周囲が「あの人の言うことならば聞こう」と思わせられる人です。対人影響力も単一のものではなく、さまざまなスキルで構成されています。論理的に説明するスキルが優れているだけではありません。彼らは、自分の考えを仲間に押しつけるのではなく、相手を尊重し、共感をとても大切にしています。相手を知るために途中で口を挟まず、傾聴する力が優れています。相手の気持ちに寄り添う感受性や観察力、洞察力なども構成スキルの一つです。

 3つ目は、「思考力」です。

 問題を発見し、課題を設定し、解決する力です。特に係長クラス以上では、課題を設定する力がとても重要になってきます。ルーチンワークをこなすのが精一杯な状況で、新規の仕事を追加するのは難しいです。投入できる時間は、せいぜい部員1人当たり 30分/日ではないでしょうか。仕事の成果は、課題設定で決まると言っても過言ではありません。設定すべき課題は、解決する価値のある問題であること。そして、その問題が解ける事です。

 私たちは、「慣れ」を「成長」していると勘違いしていることが、「成長」を阻害しているかもしれません。人間力は複数のスキルの総合的な力です。日常の仕事では、もし転職したら、このスキスはどう役立つのか?という視点を持ってみましょう。そして、自分の強みや持ち味を活かしながら、自分の仕事に必要なスキルを一つひとつ磨いていきましょう。

 その積み重ねが、「成長」につながります。