
2025/02/14【社長のメッセージ】
年末に韓国へ旅行に行ってきました。ソウル市内は高層ビルが立ち並び、極寒にもかかわらず繁華街は若者であふれ、活気に満ちていました。
現地のガイドの案内でメンズファッション店に入ったのですが、価格は日本の相場の2倍でした。アパレルの価格はブランド力や縫製方法などの要素が影響するため、生活必需品のように単純に比較できるものではありません。しかし、かつて経済大国と言われた日本で育った者として、普段使っている貨幣の2倍を払わなければ隣国の衣類を購入できないという現実に直面し、敗北感を覚えました。
一人当たりのGDPは韓国に抜かれ、2024年12月にはついに台湾にも追い越されました。GDPには為替の影響もありますが、時間当たりの労働生産性の低さも大きな要因です。労働生産性を向上させるには、いかに早く安く作るかを考えることは重要ですが、それだけでは限界があります。他社にはない付加価値をつけ、高い価格でも選ばれる製品やサービスを提供することが必要です。
また、職場には多様な価値観を持つ人が増えています。現場の声を活かし、柔軟な変革を推進できるリーダーがいなければ、企業の成長は難しくなります。リーダーの育成は、当社にとって長期的に取り組むべき最重要課題です。
リーダーシップとは、組織のメンバーをまとめ、チーム全体に良い影響を与える能力や機能のことを指します。当社のリーダーたちは責任感が強く、仲間への気遣いにも優れています。トラブルが発生すると自ら現場へ赴き、解決するまで残業や休日出勤をいとわずに対応します。また、部下が忙しそうにしていると仕事を振らない傾向も見られます。
さらに、多くのリーダーがブレインストーミング(以下、ブレスト)を苦手としているのも特徴的です。ブレストは、チームで自由にアイデアを出し合うことで、視点を変えた斬新な解決策を生み出す手法ですが、発散したアイデアを収束させるのが難しい手法でもあります。特に、仲間への気遣いができる優しいリーダーほど、すべての意見を活かそうとし、多くの時間と労力を費やしてしまいます。
しかし、リーダーは仕事の結果に責任を持つ存在であり、アイデアの取捨選択の裁量も持つべきです。責任と権限がセットであることで、リーダーシップは機能します。日々、職場の苦労を背負いながらも前進し続けるリーダーたちへ、「ロバと老夫婦」の話を贈ります。
老夫婦がロバに乗って歩いていました。すると通行人が「二人で乗るなんてロバがかわいそうだ!」と非難します。
そこで、おじいさんだけがロバに乗り、おばあさんは歩くことにしました。すると、今度は「おじいさんだけ楽をして、おばあさんがかわいそうだ!」と批判されます。
次に、おじいさんが降り、おばあさんだけがロバに乗りました。すると、「おじいさんを歩かせて自分だけ乗るとはけしからん!」と非難されました。
最終的に、二人ともロバに乗らずに歩くことにしました。すると、「ロバを使わないなんて馬鹿げている!」と笑われてしまいました。
結局、どの選択をしても批判されるものです。この話は、「全員を納得させることは不可能であり、他人の意見を気にしすぎても仕方がない」という教訓として語られます。
とはいえ、「周囲の意見を一切聞かなくてよい」と解釈するのは危険です。大切なのは、周囲の意見を参考にしつつ、自分自身の経験や方向性を踏まえて最終判断を下すことです。「全員を納得させることは難しい」という前提のもと、どのように振る舞うかが重要になります。 リーダーを支えるメンバーも、自分の意見やアイデアが採用されなくても、最終決定を下すのは責任を負うリーダーであることを理解しておくべきです。リーダーが覚悟を持って決めたことには、気持ちを切り替えて全力でサポートしていきましょう。