
2025/01/17【社長のメッセージ】
人生経験が豊富な大人のみなさんにお尋ねします。新しい恋愛が始まりそうな時、「この人は私の運命の人だ!」と感じたことがあると思います。その運命の人は、その後どうなりましたか?
逆に、なんとなくしっくりこないけど、悪い人ではないから付き合っていた人とは、その後どうなりましたか?
前者は「直感」、後者は「違和感」です。直感は残念ながら当たる確率は低く、違和感が当たる確率は高いのではないでしょうか。つまり、「直感は過信しない方がいい。違和感は信じた方がいい」ということです。
なぜ、直感が当たる確率が低いのか?直感とは感情的な感覚です。その感情の中には自分にとって好都合の期待が含まれているからです。「運命の人!」は、相手も自分のことを好きになってくれるかもしれないという期待が、直感という感情で変化したものです。
一方、違和感とは何となく気持ちがスッキリと晴れていない感情で、疑問や不安が残っている状態です。私たちは買い物をするとき、違和感を感じると買わないという選択をすることが多いと思います。しかし、仕事では違和感を感じていても、そのまま進めてしまうことがあります。私の場合は、人の採用でそのような行動をとってしまうことがあります。早期離職になってしまった社員のほとんどが、面接の段階で違和感を感じていました。しかし、その人が持つ専門知識や経験、または若者の無限の可能性を期待して「直感」で採用を判断することがあります。違和感は、言語化が難しいのですが当社と求職者の価値観のギャップに対して脳が反応しているのだと思います。価値観に優劣は存在しません。
少し脱線しますが、価値観とは、本人にとって価値を感じるものや考え方の基準です。「価値」という言葉には、「どれほど役立つかという度合い」という意味があり、「観」には「物の考え方」という意味があります。
友達同士であれば、価値観が違うことを面白がり、お互いの価値観を広げることは人生の豊かさに繋がります。一方、職場では過去の成功経験や失敗経験が価値観や社風を作ることが多いため、新しく入社した社員の価値観の違いを面白がることはできても、全てを聞き入れることはできません。また、新しく入社した社員には、当社の価値観や社風を受け入れてもらわなければならないことも少なくありません。
就職において価値観のマッチングはとても大切です。求職者よりも人生経験や社会人経験が多い私が、違和感を感じていたにも関わらず、求職者が正しい判断をするための適切な情報を提供しなかったことを深く反省しなければなりません。
日々、職場でも違和感を感じながらも、いつもの通り作業を進めてしまうことが多々あると思います。特に忙しくて立ち止まって考える時間が無い時ほど、「大きな問題はないだろう」という期待が直感となり、違和感を吹き消してしまいます。
現場で感じられる違和感の例を挙げます。営業部などの接客の現場では、お客様との対話中の一瞬の沈黙。研究開発や設計の現場では、試作品の評価中に1度だけ発生した誤動作や、評価基準は満たしているが規則性のある誤差。生産や検査の現場では、いつもと違う音や振動、手触りの違いなどです。
違和感を感じた自分を信じてあげてください。違和感を見て見ぬふりをすると、大きな問題を見逃すことになるかもしれません。
意外かもしれませんが、当社の製品やサービスの改良のきっかけの多くは、お客様からではなく、当社の社員が感じた違和感です。たとえば、当社の製品の耐久性は抜群に高いのになぜ1年間しか保証しないのだろうか?→業界初の5年間保証。分厚い取扱説明書を読んでもらうのは大変だろうな?→業界初の取扱説明動画。修理中に計測器がないのはお困りではないか?→無料の貸出用代替器100台を設置。工場排水の濃度は24時間変化しているのに1日2回のDO測定で十分な制御が出来るのか?→データロガー機能付きDO計。
これらは当社にしかない お客様から喜ばれている製品とサービスですが、社員が感じた違和感がきっかけとなり生み出されました。ご自身が感じる違和感を信じてください。そして、その違和感をきっかけに、お客様や仲間に貢献できる製品とサービス、作業工程を作っていきましょう。