社風

2024/12/06【社長のメッセージ】

 社員のみなさんには、インターンの学生の受け入れに協力していただき感謝しています。ありがとうございます。コロナ禍以降、学生さんの会社選びのポイントの一位が、「自分のやりたい仕事ができる会社」から「社風が自分に合っている会社」に変わったそうです。社風とは、会社の中の雰囲気やルール、働き方のスタイルのことです。
 私たちは普段、社風を意識していません。しかし、あらためて普段、意識する事の少ない社風を言語化することは、次のような意味があると思います。

1. 採用活動で自分たちに合う人材を見つけやすくなる
 社風を言葉で表現することで、会社がどんな働き方や考え方を大切にしているかを求職者に伝えられます。その結果、会社の価値観や雰囲気に合う人が応募してくれるため、採用後のミスマッチを減らすことができます。

2. 社員の一体感が生まれる
 社風を明確にすると、社員全員が「自分たちが目指す方向」や「大切にしたいこと」を共有しやすくなります。これにより、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、一体感やチームワークが強まります。

3. 社員のモチベーション向上
 自分が働く会社の価値観や雰囲気が明確になると、社員は「この会社で働く意味」を感じやすくなります。これがモチベーションアップや、やりがいにつながります。

4. 意思決定がしやすくなる
 会社が大切にしている価値観(社風)が言語化されていると、判断の物差しが同一になるため、社外の人と議論する場合と比べると、はるかに意思決定がスピーディーにおこなわれるようになります。

 社風は、その会社の歴史や、経営者の方針、働いている人たちの考え方などによって決まります。これらも事後的に発生したもので、市場の成長率や法規制などの外部環境、取引先との力関係や会社の規模などの背景によって形成されます。

 当社の代表的な社風の1つ目は、「親密な人間関係」です。当社は50人未満の会社ですが、独自の技術を持つ自社製品を持つメーカーです。研究開発費に売上比率8%以上も投資しています。(ちなみにトヨタ自動車の研究開発費は売上比率2.7%と言われています。) マーケティング、製品企画、研究開発、設計、材料の仕入れ、生産、品質保証、営業、梱包出荷、修理サービスなどの全てを50人未満の社員でやり繰りしています。それでいて、特定の市場においてトップシェアを維持し、毎年、最高売上高を更新しています。
 当社は他社が真似できない高度な技術を必要とする業務を少人数で行っています。また一人が幅広い仕事を受け持っていることもありマニュアル化が十分ではありません。個人の経験やカンなど言葉にしにくい知識が多く存在します。
 新入社員はマニュアルを補足資料にして、先輩から直接指導を受けることで仕事を覚えていきます。このような背景により、当社の社員は仕事を覚える過程で親密な人間関係が築かれていきます。しかし、人間関係を築くのが苦手な人にとっては大きなストレスになる社風でもあります。特に先輩社員と馴染めない新人は孤立してしまい、居心地が悪い会社といえます。

 2つ目は「言語化を大切にする」社風があります。再現性のある仕事をするためには、そのプロセスを全ての関係者が誤解なく共有できるように言語化がとても重要です。
 言語化は正社員だけでなくパート社員にも求められます。少人数でトップシェアを維持するためには、指示された作業を行うだけでなく、現場でも工程を改善してもらい、その内容を『改善報告書』に書いて提出してもらっています。
 全社員が工程を改善するためには、当社がお客様に「なぜ」、「何を」、「どんな方法」で提供しようとしているのかを、全社員が理解してもらう必要があります。毎年更新される経営方針の音読会では、パート社員も参加してもらい、理解度チェックのレポートを提出してもらっています。音読会に参加したことで理解したつもりでも、自分の言葉にしてみることで、一層の理解を深めることができます。理解が十分でない場合は、丁寧な説明をした上で修正をしてもらっています。
 アドバイスされたことで自分が否定されたと考えてしまう人には、大きなストレスを感じる職場だと思います。先輩のアドバイスに対して、「そんな考え方もあるんだな。」と受け入れられる柔軟さがある社員は、大きく成長できる環境だと思います。

 当社は、万人にとって心地よい会社ではありません。しかし、組織への貢献度が高い社員の在職期間は長く、離職率はゼロです。一方、当社に入社して間もない頃は、残る社員と 離れていく社員が分かれる会社です。ミスマッチによる早期離職は本人にとっても無益です。働きやすい職場への改善は何よりも優先すべき事ですが、万人にマッチする会社にすることは、大切な多くのことを失う事になります。社風を事前にお話しすることでミスマッチを減らしていきたいと考えています。

 最後に、「個人の価値観の尊重」と「会社方針の理解と遵守」は両立できると考えています。プライベートの時間は個人の価値観を尊重します。しかし業務中は会社の方針を前向きに理解することに努め、協力してください。

 当社は、社員が家族や知人に自慢できる蒲郡市を代表する高収益、高収入の会社にするために、「飯島電子らしさ」を一層磨いていきます。これからも協力をお願いします。