持続的な賃上げ

2024/05/17【社長のメッセージ】

 20年間の賃金水準は、米国が1.3倍、韓国が1.5倍伸びているのに対して、日本はほぼ変化していません。日本労働組合総連合会は物価上昇を上回る賃上げのため、1991年依頼、33年ぶりに高水準の賃上げを目指しています。
 しかし、原材料やエネルギー価格の上昇分に加え、人件費の増加分を納入価格に上乗せする価格転嫁が出来ていない中小企業にとっては、賃上げは厳しい状況です。

 賃上げは1年で終わるのではなく持続的におこなうことが重要です。持続的な賃上げは、生産性や付加価値の向上抜きでは実現しません。どれだけ経営者が生産性や付加価値の向上を叫んでも、社員のみなさんにインセンティブ(成果型の報酬)がなければ、持続的に好循環を回すことはできないと考えます。

 つまり、生産性や付加価値を上げた社員が正当に評価され、処遇される人事評価制度を作らなければ、持続的な賃上げは実現できません。これまで当社は目標値をあと一歩届かなくても、遅い時間まで残業して頑張ってくれていたからという理由でA評価にしていました。しかし、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現するためには、心を鬼にしてB評価を付けることが、好循環を回すことになると考えを改めることにします。

 当社が毎年5%の賃上げを実施するためには(条件として、毎年正社員を1名採用し、残業手当はこれ以上増えないとした場合)、売上を3.5%アップし続ける必要があります。
 売上げを3.5%アップするためには、以下の3つを改めて意識してもらいたいと思います。

① 各部に割り当てられた経営方針展開実施事項を期日通りにやり切ることです。但し、市場は変化していきますし、経営方針を策定した当時の前提条件が変われば、戦略も見直して進める必要があります。

② 小さな改善の積み重ねは大切です。常に問題意識を持って自分の職場を見て、自ら改善していくことで大きなトラブルを未然に防ぐことができます。しかし、小さな改善だけでは3.5%の売上アップにはなりません。小さな改善だけでなく、部署で推進している大きな改善にも積極的に携わっていきましょう。

③ 30歳を超えたら職位、職責にかかわらず結果で評価されると自覚しましょう。それは転職して間もない社員も同じです。20代は会社が投資する期間だと考えています。結果よりもプロセスや能力開発を重視しています。会社から与えられる成長の機会を逃さず、多くの経験を積みましょう。

 当社は、年間12時間以上の外部講習の受講を義務づけています。これは大企業の平均11時間を上回っています。会社の教育制度を上手に活用して知識とスキルを向上させていきましょう。

 今回は、みなさんにお願いすることが多くなりました。物価上昇を上回る賃上げは、社長が死守すべき義務だと考えているからです。

 『社員の心物両面の幸福を追求すると同時に、社会に貢献する。』を実現するためには、「社員を大切にするから会社は黒字になり、社員に甘い会社は赤字になる」、という教訓を常に心に留めています。

 総売上に対する輸出比率の高い大企業は、為替による円安のおかげで利益が出ています。一方、輸出をしていない企業は輸入材料の高騰で利益が目減りしています。
 しかし、円安は当社にとっては大きなチャンスだと考えています。海外のライバル製品は、日本国内で大幅な値上げになっています。このチャンスを逃さず、当社製品への切り替え提案をお願いします。