真面目が招いた低賃金

2022/05/13【社長のメッセージ】

 ビックマック指数が年々低下しています。ビックマック指数とは各国の経済力を測るための指数です。世界のマクドナルド店舗で販売されているビッグマック1個の価格を比較することで算出されます。ビックマックは、世界中でほぼ同一品質のものが販売されています。原材料や店舗の光熱費、店員の賃金などが価格に反映されているため、各国の総合的な通貨の力を比較できると考えられています。

 2000年、日本のビックマック指数の世界ランキングは5位でした。しかし、現在は中国と韓国にも抜かれ33位/57ヶ国にまで落ちてしましました。
 経済協力開発機構(OECD)によると、日本人の平均年収は3.8万ドルです。米国が6.9万ドル、ドイツが5.4万ドル、韓国の4.2万ドルにも抜かれてしまいました。

 コロナ前には、中国人旅行客が日本で大量の買い物をする「爆買い」が話題になっていましたが、その理由は、日本は物価が安く、円の価値が下がっているのでお得だからなのです。20年前に私たちが東南アジアへ旅行すると物価が安く、円の価値が高かったので、王様気分を味わえたのに、今では立場が逆になってしまいました。

 気になるのは、なぜ日本がここまで貧しい国になってしまったのかだと思います。理由は複雑です。長く続く低金利政策で世界的に円の魅力が下がっていること、円安により輸出で儲けている企業が従業員の給料に反映させていないこと、日本の大多数を占める研究開発費が捻出できない小規模の会社が、親会社から低い利益でも受注し続けなければならない産業構造であることなどがあげられます。これらは少子高齢化が進む日本では、すぐに解決できないことですし、私たち個人が改善することは難しいと思います。

 日本がこのような深刻な状況になってしまったのは、真面目な国民性にあるのかもしれません。過去に決められた仕事の手順を忠実に守り続けることや、これまで長く続けたことをスパッと止めたりすることができません。
 お客様の要望に体力が許す限り応じることで、売上は上がるものの、従業員は長時間労働を強いられて、利益も上がりません。日本人の真面目さゆえの過剰サービスと無駄の多い仕事のやり方は、そろそろ見直しが必要だと思います。

 お客様の要望に応えるな、と言っているのではありません。お客様のために奉仕することは仕事の基本です。しかし、場当たり的に対応し続けるのではなく、win-winになるように効率的にサービス(製品を含む)を提供し続けられる仕組みを作るのです。

 みなさんが時間をかけているその仕事は、お客様や仲間、組織、会社にとって本当に必要なことですか?昔ながらのやり方を守り続けている限り、発生するトラブルは予想できますので安心なのはわかります。しかし、仕事とは、今よりも生産性を上げるために代替案を考えて、未知のトラブルを予想し、可能な限り対策を講じることです。

 世の中は、働き方改革をこて先の残業時間の削減ばかりが先行して、ルーチンワークをこなすだけで精一杯になっています。つまり成長が止まっています。その間に、外国企業にどんどん追い越されています。

当社は、あらためて仕事の意味を書き換えて、プライベートの充実と豊かな暮らしを実現させていきましょう。