2021/07/02【社長のメッセージ】
三河湾のアサリは、日本一の産地で、身が大きく味が良いことで知られています。今年も3月に潮干狩りは解禁され、海が遠い各地からも多く人が集まりました。私たちにとって身近過ぎて、ありがたみを忘れてしまうアサリですが、近年生育が悪くてピンチらしいのです。
原因がなんと、生活排水がきれいになりすぎて、アサリの餌である植物性プランクトン量が少なくなっていることが大きな要素ではないかと言われています。
また、日本一の海苔の生産地である有明海でも同様のことが起こっているらしいのです。本来なら黒々とした海苔が、薄い緑色に色落ちし、漁業者を悩ませています。いつもなら3月末までが海苔の漁期ですが、これ以上生産を続けてコストを掛けても売上が見込めないため、1ヶ月も早く網を上げてしまった漁業者もいたようです。
ここでも原因の一つとして、下水処理技術が向上したことで、海苔の栄養分になる窒素やリンが不足していると考えられています。現在は試験的に下水処理をおこなっている施設で、あえて窒素とリンを抜き取り過ぎないようにして海に戻しているそうです。近い日に効果が確認されるはずです。
当社の計測機器は、生活排水や工場排水のBODや窒素、リンを可能な限り減らすための管理計器として研究を重ねてきました。その努力が実り、きれいな海が戻ってきました。
次なる目標は、生態系にやさしい海にすることです。私たちは生き物と共存するために、排水中の栄養素を限りなくゼロにするのではなく、高度な技術で適正値にコントロール出来るようにとニーズが変化しています。
ニーズの変化に応じて、新たに築き上げなければならない技術があります。当社はお客様が抱える課題を、共に解決する過程で技術的に成長してきました。お客様のニーズの変化は、ゆっくりのときもあります。
カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後に死んでしまいます。
私たちも、お客様のニーズの変化に気づけないと、ゆでガエルのように絶滅してしまいます。しかし、私たちの直接のお客様自身も変化に気づかれていない場合も あるのではないかと思います。私たちは日頃から一歩踏み込んで、「お客様のお客様が困っていらっしゃることはないか?」と、いつも問い続けていきましょう。