2021/06/04【社長のメッセージ】
当社では、生産性向上の意識が少しずつ定着してきたと思います。
生産性向上とよく似た言葉に「業務の効率化」があります。生産性向上は、投資に対して現在よりも生産量を増加させることです。当社でいえばこのメンバーで、より高く、よりたくさん売れる製品を開発して販売することです。
一方、業務の効率化は、生産などにおける業務にかかる時間や費用を抑えることを指します。生産性向上と業務の効率化は、同時におこなわれることで、お客様に必要とされる会社であり続けることができます。
私たちは、生産性向上も業務の効率化も無駄を省くことが大事であると理解しています。具体的には顧客満足に影響しない業務を廃止・削減することです。これは皆さんも異論はないと思います。しかし、いつか私たちは落とし穴に自ら落ちてしまうことがあるのではないかと、不安になることがあります。
「となりのトトロ」、「千と千尋の神隠し」の監督である宮崎駿氏の口癖が、「めんどくさい」だったことを思い出しました。
1997年に公開された「もののけ姫」の興行収入は193億円と言われています。CGを使わず、わずか数分間のアニメーションを、1枚1枚手で描いて1年7ヶ月を費やしたシーンがあったそうです。
氏曰く、「世の中の大事なことって、たいていめんどくさい。恥ずかしいことはしたくない。恥ずかしくない作品を作りたいという気持ちが一番大きい。」
氏の口癖の「めんどくさい」は、面倒くさいという自分との気持ちとの戦いらしいのです。宮崎氏のような偉業を成す人は、面倒なことを面倒と思わない、努力を努力と思わない人だと思っていました。氏ほどの人でも「めんどくさい」、「めんどくさい」と連呼しながら仕事をしているかと思うと、背筋が伸びる思いです。
私たちは生産性向上という大義名文のもと、本当は大事で必要な面倒な仕事を避けているときがあると思います。やる前に面倒くさいと言って避けているのと、面倒くさいと言いながらも仕事をやり遂げるのでは、長い年月を経て、将来、大きな差になるはずです。
製品の差別化が一層難しくなっている昨今だからこそ、本当に大事なことを見極め、面倒くさいことを丁寧にやることで、「飯島電子の製品は、少し高いが将来を考えるとリーズナブル(妥当、正当)な投資だ。」と思っていただけるメーカーを目指していきましょう。