ある農夫の一日

2020/12/04【社長のメッセージ】

 ある農夫が、朝早く起きて畑を耕そうとした。
 ところがトラクターの燃料が切れていたので近くまで買いに行ってきた。途中でブタの餌をやっていないことを思い出して納屋に餌を取りに行った。すると、ジャガイモが発芽しているのを発見した。これはいけないと思い、ジャガイモの芽をとっているうちに暖炉の薪が無くなっていることを思い出して薪小屋へ足を運んだ。薪を持って母屋へ向かっていると、ニワトリの様子が変である。どうも病気にかかったらしい。とりあえず応急処置を施して、薪を持って母屋にたどり着いた頃、日がトップリ暮れていた。
 農夫はヤレヤレ何かとせわしい一日であったと思いながら、一番大切な畑を耕すことができなかったことに気がついたのは床に入ってからであった。[1]

 終業のタイムカードを通した時、軽い疲労感に仕事をした気分になりますが、これを読んでドキッとした方がいると思います。私もその一人でした。
 朝からメールチェック、会議への出席、回覧物のチェック、不具合対応、壊れた機械の修理・・・。自分は本当に会社の目標達成に貢献しているのか・・・。
 農夫の身の回りで次々に発生するトラブルの多くは予想できました。トラブルが発生する前に、計画的に対処すれば、一番大切な畑を耕すことができたはずです。
 私たちの職場では、クレームは何よりも先に対応しなければなりません。しかし、日々、トラブルに振り回されて一日が終わらないように、トラブルの予防を計画的に実行したいものです。するとトラブルは徐々に少なくなり、少しずつかもしれませんが、「一番大切な仕事」ができるようになります。

 仕事だけではありません。言葉足らずで誤解され仲間との人間関係が悪くなるのは、信頼関係が築けていないことが原因です。日頃から有効なコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことで、相手の意見を否定するような発言をしても、前向きに聞いてもらえるようになるはずです。


[1]出典:ニシオ式躍進経営の秘密 東川鷹年