自分を活かす

2019/11/07【社長のメッセージ】

 先日、新聞で禅の教えに触れることができました。
 禅が目指すのは「悟り」を開くことで、悟りとは、身も心も一切の執着から離れることだそうです。欲まみれの自分には、頭では反省したつもりでも、行動が変わっていないことに気づけないんだろうな、と自分の不甲斐なさを反省しました。
 記事中で、ご住職は身近な例で禅を説いていました。禅はとにかく何でも活かす。効率性を重視するとのことでした。効率性というと時間やお金に目が向きがちですが、禅はモノとして効率性を追求するとのことです。
 ご住職が修業時代に、庭の掃除をした後、先輩に「ごみはどうすればいいですか?」と尋ねたところ、怒られたそうです。「お前が集めたモノはゴミではない。木の枝はお米を炊く燃料に、木の葉は畑にまけば肥料になる。石ころや土は、地面のわだちを埋めるのに使える」と諭されたそうです。
 禅寺では拭き掃除の後にぞうきんを洗ったバケツの水も、そのまま捨てず、木にまくように教わったそうです。「活かす」ことを真剣に考えることが、修行の一部なのだそうです。

 仕事で成果を出すためには「自分を活かす」ことが大事です。しかし、どんなに優秀な方でも、自分一人で完結する仕事は何一つありません。組織で仕事をする目的は、1+1=3以上にするためです。つまり自分を活かして、仲間を活かして、化学変化を起こすことです。
 意外に難しいのが、「自分を活かす」ことです。「自分を活かす」とは「自分が活かされる」ことです。
 人は感情の生き物です。どんなに正しいことを言っても、相手が前向きに、気持ちよく受け取ってくれなければ、面倒な作業を押しつけられた、となってしまいます。結果的に、望ましい成果にはなりません。
 「自分が活かされる」ためには、上司や先輩を尊重の気持ちで接するだけでなく、同僚や後輩に対しても尊重の心で接すること。仲間の話を途中で遮らないで最後まで聞くことです。
 みなさんの正しい意見を、前向きに気持ちよく意見を聞いてもらい、自分を活かしていきましょう。