仕事と作業

2018/11/09【社長のメッセージ】

 私が会社を永続させるために気を付けていることは、ライバル会社と喧嘩をしないことです。
 具体的には、価格競争をしない。「あそこが1,000円安いなら、当社は 1,100円値引きします。だから買ってください。」「当社のお客さんをライバル会社に値段で盗られた。」価格競争は盗った盗られたのやくざの喧嘩になり、また、お互いの利益を削っての体力勝負の消耗戦になります。
 しかし、製品やサービスに特徴があれば喧嘩になりません。特徴とは、例えば性能、機能が優れていて品質のバラツキがなければ喧嘩にはなりません。
 ライバルに製品とサービスの品質で明らかに負けているなら、負けを素直に受け入れられるし、ムダな値崩れも起こしません。そしてライバルよりもお客様の利用価値を上げるような品質アップをしていけば、お客様も、メーカーも、社会に喜んでくれます。
 それが理想的な商売だと思うのです。
 この話しを進めるにあたって、「仕事」と「作業」の違いをお話しします。

決め台詞:「いい仕事をしていますねぇ。」何でも鑑定団 骨董品の鑑定士 中島 誠之助さんを知っていますか?
 彼の言う「いい仕事」とは、職人が究極の姿を目指して作品を作り上げるプロセスであり、作品を残した職人に対して最高の褒め言葉です。
 でも彼は、「いい作業をしていますねぇ」とは言わない。逆に、私たちは、単純作業とは言うが、単純仕事とは言いません。

 「作業」と「仕事」の違いは何か?
 「作業」とは、「ルーチンワークを言われた通りにこなすこと」です。どんなに丁寧に、真面目な態度であっても、上司に言われたことをそのまま形にしているだけでは「作業」の域を出ません。
 「仕事」とは、上から指示されたことを完成させた上で、さらに「これでいいのか」と疑問を持って、自分なりの工夫を施していくこと。上司だって完璧ではありません。工夫の余地がないことなんて絶対にないです。

 「仕事」とは、任せられた業務の目的を把握して、「お客様や後工程の仲間のために、もっと良くできないか?」「より早くできないか?」などを考え、創意工夫しながら、やるもの。これが「仕事」です。
 仕事 = 作業 + 改善 です。
 ライバルと価格競争をして喧嘩することを避けるために、ひとり一人が「作業」でなく、「仕事」をする意識を持つことが大切です。仕事と改善活動は同義だと考えてください。「忙しくて改善はできない」、と愚痴も言いたくなるときもあるかもしれませんが、忙しいから改善するという超ポジティブでいきましょう。