2018/10/11【社長のメッセージ】
31期より、生産性向上をキーワードに、各部のリーダーを中心として活動が展開されていると思います。
生産性向上というと、時間短縮とか手抜きをイメージされている方がいらっしゃるかもしれないので、その誤解を解いておきたいと思います。
先日、脱サラをして会社を設立した社長の話を聞く機会がありました。その社長は、11年前に素材メーカーを退職して、一本1,000円の高級歯ブラシを開発し、これまでに世界で400万本販売されているそうです。
この歯ブラシには、特殊なコーティングがされており、歯磨き粉を使わず水だけで磨くだけで、歯がツルツルになるというものです。
私はこの話を聞いて、歯磨き粉を使った方が経済的なのではないか?誰がこんな高いものを買うのかと今でも信じられません。
日本では毎年5万社が起業しているそうですが、10年後の生存率は4%だそうです。生き残ることは難しいことなのです。当社の従業員は50人です。みなさんが会社を創業したら、生き残る社長は2人である。つまり、48人の社長の会社は倒産する計算です。
会社を倒産させてしまう社長と、生き残らせる社長の大きな違いは、思いの強さ。こだわりのポイントに対して、どこまで追求するのかというラインが桁違いに高いのではないかと思うのです。
96%の社長が「この程度でいいだろう」と易きに流れて妥協してしまうところを、会社を存続させる4%の社長は、こだわるべきポイントに対しては妥協しないということではないかと思うのです。
限られた経営資源で、全てのポイントで妥協しないことは現実的には難しいかもしれません。どこに力を注ぐのかは、創業者の思い、先代社長の思いを理解することが近道だと思う。
当社は2つある。1つ目は「品質」です。
品質を向上させるためには、当たり前ですが、何をどこまで向上させるのかを明確にすることです。そのためには、インプットであるお客様の要求を可能な限り数値化して、設計のアウトプットと線で繋げられるように明文化することです。
当社は曖昧な設計インプットを文書化し明確にすることで、後戻りすることなく、顧客満足度の高い製品を開発していくことで、品質を追求してきました。
2つ目は、「コストは設計段階で決まる」です。
完成した製品をコストダウンするのは、大きな制約が出てしまい難しくなります。後にコストダウンをするつもりなら、全部署の意見に耳を傾けて、設計段階でおこなっておくべきです。
ここに生産性向上を目指す意味があります。
生産性は、分子に「価値」、分母に「コスト」で表されます。生産性を上げるためには、分子の「価値」を上げるか、分子の「コスト」を下げることです。分子を上げるのは、こだわりのポイントに対して妥協を許さないことで上げることに他なりません。
また、昔は価値のあった検査や確認業務など、ムダな作業を止めることで時間を捻出して、品質向上のための時間に使っていきましょう。
生産性を上げるというと、品質を二の次にして、手抜きをするイメージがあったかもしれないが、全ては品質向上が目的であり、労働時間の短縮と収入アップを両立する基本的な考えたかであるとご理解ください。
ご自身の仕事が直接お客様と関係ない方や部署もあります。その際は、後工程がお客様だと考えて、後工程のスタッフの価値を考えて、仕事の品質を上げるようにしていきましょう。