深く考える

2021/11/05【社長のメッセージ】

 業績の良い会社ほど、社員が「自社は、近い将来につぶれるかも」と危機感を感じながら仕事をしていると聞きます。当社はお客様の暖かいご支持のおかげで、コロナ禍にもかかわらず、業績を大きく落とさず経営させてもらえています。しかし心の緩みが染み付いてしまうと、危険水域に達していることに気づいたときは、すでに取り返しがつかない状態になっています。なぜなら新製品や新サービス、社風は短期間で作り上げることは出来ないからです。

 当社のような差別化された付加価値の高い製品やサービスを提案し続けなければ生き残ることが出来ない会社にとって、「深く考える」は、最も重要なスキルです。しかし、深く考えているつもりでも、上司から「考えが浅い」、「もっと深く考えて欲しい」と、言われることがあるではないかと思います。

 当社しか出来ない独自技術や得意な技術に力を入れることは、とても重要です。限られた人材でルーチン作業を回しながら、これらの技術をさらに進化させていくためには、ルーチン作業の改善や新しい設備を導入したり、当社でなくても出来る作業は、社外の協力会社の力を借りる必要があります。

 しかし、このような地道な活動をして、進化させるべき技術に力を入れるための時間を捻出しても、深く考えて目に見える形でアウトプット出来なければ、折角の努力も無駄になってしまいます。このように深く考える力は、当社にとって、とても重要な力なのに個人の能力や意識に任せられています。ここに強い危機感を感じてしまいます。

 私たちは深く考えているつもりでも、頭の中では堂々巡りをしていて、少しも前に進めていないことがあります。私たちはどうすれば「深く考える」ことが出来るのか分かっていません。なぜなら、私たちが小学生から高校生また、大学生まで「深く考える」訓練をされてこなかったためです。今回は私が実践している「深く考える」思考法を紹介します。当社では木下さんや神谷さん達もやっている方法です。

 やり方は、頭に思い浮かぶことを紙に書き出すだけです。A4用紙の左上にタイトルを1つだけ書く。タイトルは何でも良く、解決したい問題や疑問、不満など思い付いた事を書きます。あとはタイトルについて頭に思い付く事をどんどん書き出していきます。それだけです。

 例えば、タイトル:「上司に認めてもらえていない」→ 自分は誰よりもがんばっている。 Aさん(上司)は、私のことを嫌っている? Aさんが私に期待することがわからない。 Aさんは上司なのだから、私へ丁寧に説明するべきである。 自分は期待されていないのか? Aさんと親しいBさんに相談してみようかな。 でも誤解されるのはイヤだな。 明日、半期評価の書き方を質問する時に、期待されていることを聞いてみよう。・・・・。

 頭に浮かんだことを書き留めると、堂々巡りがほぼ無くなります。ある程度悩みをはき出した後は、気持ちが少し軽くなって、意外なほどアイデアが出て、考えが深まるようになります。毎日10分(10タイトル× 1分)を1ヶ月続けることで、自分でも驚くほど頭の回転が速くなっていることに気づくと思います。

 タイトルは仕事の生産性を上げる事だけでなく、心につかえている事を紙に書き出すことで、少し前向きになれます。心と身体は一心同体です。気持ちが前向きになると仕事の問題解決にも積極的になれ、深く考えるスキルと相まって、生産性の高い仕事が出来るようになれる、と期待出来ます。

 興味があれば、『ゼロ秒思考』著:赤羽雄二 も読んでみてください。おすすめです。